住民を巻き込む仕掛けの極意『第2回地域包括ケアシステム研修会ナイトセミナー「生きる」を支える〜幸手モデルの理論と実践〜』開催レポート

8月30日に第2回ナイトセミナーが開催され、東埼玉総合病院地域糖尿病センター長であり、北葛北部医師会在宅医療連携拠点菜のはなの中野智紀先生により『「生きる」を支える〜幸手モデルの理論と実践〜』をタイトルにご講演いただきました。


 結論から申しますと、中野先生のような医師が埼玉にいらして良かったと思ったのと同時に、もっといてほしいと痛感した研修でした。

 まず講義の中で多くの写真があり、中野先生自身が地域を歩いていることが伝わってきました。その中には、子育てママがママの時間を楽しめるように居場所作りを行ったり、散歩中に気になった人を全員自分の寺に連れてくる方をご紹介くださいました。このように地域包括ケアはもっと自由で良い、様々な世代の多様なニーズに基づく活動であれと、私たちに勇気を与えてくださいました。
 その背景を、地域包括ケアに対する疑問点から語っていただきました。地域包括ケアにおいて対象者の範囲を限定したり、専門性を振りかざすことは本来的ではなく、地域に住む人たちの生きることを支えるからです。生きることを支えるという観点から、専門職は専門的なフィルターでしか人をみなくなり、支援しているつもりが生きにくさをかえって複雑化していることもあると、優しい雰囲気の中野先生が語気を強めておっしゃっていました。講演の最後に、福祉は「フつうにクらすシくみ」というキャッチフレーズが重く響きました。

 中野先生が求める支援者の姿勢は『当事者の伴走者という役割を担うこと』でありこれは作業療法士には馴染みのある表現ではないでしょうか。急性期病院で働く作業療法士への示唆も頂き、実り多い研修となりました。