話題のVR体験も!『地域包括ケア×生活行為向上マネジメント×認知症対策コラボ研修』

平成30年1月28日、大雪が一部残るさいたま新都心、埼玉県立小児医療センター内にある地域医療教育センターで「地域包括ケア×生活行為向上マネジメント×認知症対策コラボ研修」が開催されました。地域ケア個別会議にて、作業療法士としてより実践的な助言ができる事を目標に、「地域で生活する認知症の人のBPSDなどに対して、生活行為向上マネジメントの視点で生活課題の背景や生活目標を導き出し、現場に活かせる助言について」学びました。

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内容は3部構成となっており、最初は㈱シルバーウッドさんによる認知症VR体験が行われました。若年性認知症の方が普段感じている実体験をもとにストーリーが展開され、マウントと呼ばれるゴーグルとヘッドホンを装着して体験をしました。このゴーグルは360°切れ目なくVR(仮想現実)が組み込まれており、1話目はデイサービスの送迎バスからの降車が、ビルの屋上から飛び降りるように感じる中で、後ろから「大丈夫ですよ。」と声をかけられ、落とされそうになるストーリー。2話目はサークルの知人宅に伺った場面で部屋の隅や、知人が話をしている近くに見知らぬ大人がいて、知人の話が入ってきづらい状況など、臨床で対象者が頻回に話して下さる表現そのままの世界を当事者視点で体験できました。また、監修された当事者であるレビー小体型認知症の樋口直美さんが映像の中で「幻視は怖いものだけではなく、美しい景色なども見えたりすることもあり、今は近視、遠視、乱視、幻視と並列で感じている」と明るい表現でコメントされていたのも印象的でした。

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その体験を踏まえて老健ひもろぎの園のOT石井利幸先生がやさしい視線で、丁寧かつ熱く紐解きながら講演されました。認知症の人が抱える「現実の生活状況と主観的な生活状況のズレ」から生じる生活課題をアセスメントする考え方、その事例を通して環境要因を中心にアプローチする考え方、重度者の背景から本来の本人であればこのように考えていたのではないかという代弁の視点を学びました。

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さらに地域ケア個別会議での助言を想定したグループワークでは、基本情報や生活機能評価表、サービス・支援計画表などから生活行為目標をMTDLPの視点であげることを行いました。さらにそこから、背景要因を分析し、支援プログラムを当事者や関連支援者に一般論ではなく、その人にとって必要な助言として「いつ、誰が、どのタイミングで、どのように」行うとより効果的なのかについて実際の助言時間を想定した1~2分以内で発表するグループワークが行われました。症例は2事例あり、最初は具体性に欠ける助言が多かったものの、助言の視点が解った2事例目では各グループがOTらしさを存分に発揮した素晴らしい助言が多数ありました。

1日の研修でしたが時間感覚がわからなくなるほどあっという間の内容の濃い実のある研修でした。

明生リハビリテーション病院 酒井秀幸
編集  石井 晶(あさひ病院)

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