「やってみよう!」のトリガーに 『若年のつどい in 上尾』

「顔なじみが増えると、本人の楽しみも増えていくようです」
平成29年11月25日(土)に上尾で行われた若年性認知症の人と家族のつどいでの、ある介護者の言葉が、強く印象に残りました。

本日の会の参加者は、当事者9名、介護者10名。スタッフには認知症の人と家族の会の方や、若年性認知症支援コーディネーター、地元ボランティアの方に加えて、OT県士会から12名が参加。参加者・スタッフ合わせて約50名という大人数で行われました。
最初に全員の自己紹介が行われ、参加者からは発症からの期間や最近の様子、困っていることなどの話がありましたが、そこには重苦しい様子はなく、時折の冗談から笑いも起こるような和やかな雰囲気でした。
午後からは当事者と介護者とが別室に分かれ、介護者のグループは相談や情報交換の会、当事者は屋外へ散歩に行き体操を行う人や、当事者同士で近況を話し合う人、歌を歌う、簡単な手芸を行う人など、それぞれの状態に合った時間を過ごしていただきました。中には発症してから覚えた(!)という楽器の演奏を披露される方もおり、非常に楽しく穏やかな空間が感じられました。
当然スタッフも二手に分かれて、それぞれのサポートに回ります。当事者のサポートで最も重視するよう言われたことは、「当事者の安全を最重視して動くこと、本人たちが楽しい時間を過ごしてもらうようにサポートすること」でした。私も含め初参加のOTもいましたが、他スタッフのサポートもあり自分たちも楽しめる時間を過ごし、終了後には「今までになく盛り上がっていた」と言っていただけました。
介護者同士の会では当然悩みも多く、病気の進行による今後についての不安や、当事者の変化に対して涙して語る場面も見られたとのことです。しかし、終了時に当事者がどんな様子で過ごされたかを伝えられるとほっとした顔を浮かべ、「またお願いします」と笑顔で帰る様子も見られました。

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現在、若年のつどいは県内の4か所で行われ、ほぼ毎月どこかで実施されています。複数のつどいに参加されている方やスタッフもおり、冒頭の介護者の言葉のように参加者同士のつながりが、当事者たちの生活の助けになっていること、スタッフ間のつながりが会をより有意義なものにしていっていることを感じました。

冒頭の介護者の方は「家族の会に参加したことで、やってみようと思うことが多くなった」とも言っていました。その方のご家族は楽器の演奏を本当に楽しそうに披露しており、レパートリーもどんどん増えているとのことです。仲間ができることがきっかけになり、その姿がまた他の参加者にも「やってみよう」をつなげていることと思います。

宇田会長が締めに「本人がやってみたい、やってみようと少しでも思ってもらえるような関わりをすることが、作業療法士の役割でしょう」と仰っていました。また、「認知症の人と家族の会」の副代表理事であり埼玉県支部の花俣代表は、埼玉県での家族の会とOT県士会との連携を「埼玉モデル」として全国に広めたい、と強く仰っていました。
人と人との関わり合い・支え合いの大切さを実感するとともに、あらためてOTという職種の持つ力と、周囲からの期待を強く感じた一日でした。

武井 伸太郎(さいたま市民医療センター)

武井さんの報告の中にもありましたが、「当事者の安全を最重要視すること」のために、準備作業として会が始まる前に全体のミーティングと、午後の当事者のつどいの前に当事者対応スタッフ同士で活動内容、行き先の安全確認等のミーティングを行っています。
家族の会の宮田副代表より、「人命尊重から生まれた『安全第一』をみんなで考える機会を作れるといいですね。協力者が増えてくれるのを期待します。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。」とメッセージを頂きました。

内山 渚(コンパス訪問看護リハビリステーション)

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編集  石井 晶(あさひ病院)

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