子供から高齢者まで賑わいのある地域を目指して 第3回ナイトセミナー開催

2月13日(金)、ソニックシティにて今年度第3回目のナイトセミナーが行われました。
講師は全国で子ども食堂を運営する全国子ども食堂支援センター・むすびえ理事長で、社会活動家の湯浅誠先生をお招きし、80名を超える受講者にご参加いただきました。全国で4000か所以上展開されている子ども食堂を運営するに至ったプロセスとそのノウハウは感銘を受ける内容でした。

来たる2025年・2040年問題を前に様々な生き方を受容しようと推進されている現代における課題は、生き辛さ(配慮されない辛さ)である、と初めに湯浅先生は問題提起しました。社会の支え手が年々減少する時代に自分は他者とは違う、できることが限られる、という理由で社会参加が困難になることはこれからの日本において危機と言えます。誰一人取りこぼさない社会の実現を目指すために、繋がりのない賑わいからはじかれる子どもを作ってはならない、と子ども食堂を立ち上げました。このベースの取り組みに最近普及しつつある介護予防の取り組みである高齢者サロンやボランティア活動を取り入れ、多世代交流(=地域共生型)の体制を定着させました。そのことによって子どもは幼いころから多様な大人がいることを認識でき地域を知るきっかけになる、高齢者は子どものために役割を果たそうと動き出す、というWin-Winな正のスパイラルが回り、持続可能な地域が作られる、という理論と実践でした。他者とは違うことではじかれるのではなく、ちょうど良くアジャストさせることで障害者やマイノリティとして扱うことのない、配慮できる優しい人材の育成が子ども食堂という場を提供している狙いである、ということでした。

地域共生社会の実現に向け、子ども食堂という場を演出することで貢献しようと日々尽力されている湯浅先生の取り組みは参加者全員の心に響いたと思います。誰一人取りこぼさない、配慮できる人であふれる社会の実現に向け、我々作業療法士には何ができるのか、自ら当事者の下へ飛び込み問題を取り上げ解決するために行動を起こすことの重要性を感じた研修会となりました。

記:鶴ヶ崎直己(地域包括ケア推進部員、戸田中央リハビリテーション病院)