日本作業療法士協会 山本 伸一 会長からのメッセージ <障害者虐待の防止および権利擁護のさらなる推進のために>

作業療法士の皆様へ

障害者虐待の防止および権利擁護のさらなる推進のために

 近年、医療従事者による障害者の虐待事件※が立て続けに起こっています。日本作業療法士協会は、当事者の活動と参加を支援し、ご本人の望む生活 の実現に向けて共に歩むことを旨としている作業療法士の団体として、これらの事件を看過することができません。虐待があってはならないことは当然ですが、本来ならばむしろ障害のある方々の権利を積極的に擁護し、ご本人たちの幸せのために業務に専心すべき立場にある者がそれを行ったという点で、到底許されるものではなく、ただただ強い憤りを覚えます。これを機に、日本作業療法士協会は会員の皆様と次のことを共有いたします。
 まず、これらの事件において何が起きたのか、一人一人の作業療法士がしっかりと情報を得て、なぜこのような事態になるまで放置されていたのか、事件を未然に防ぐことができなかったのかを、他人事ではなく我が事として考える必要があります。
 次に、障害のある方に対する虐待の防止と人権擁護について、私たちが必要十分な知識をもち、正しく理解できているかを自己点検してみ ましょう。そして日本作業療法士協会が掲げている倫理綱領と職業倫理指針についても再確認をお願い致します。

 私たち作業療法士は、子ども、障害のある方々、高齢の方々をはじめとする誰もが安心して生活できるための社会づくりを目指しています。 それを一歩でも着実に前に進めるためには、一人一人が絶えず作業療法の理念に立ち返り、「人々の健康と幸福を促進するために」日々の実践を丁寧に積み上げていくことが何よりも大切です。私たちはこのことに深く思いを致し、作業療法士としての社会的役割を誠実に果たしてまいりましょう。
 皆様のご理解とご協力の下、日本作業療法士協会としてもその実現を目指して活動を続けてまいります。

2023年7月

一般社団法人 日本作業療法士協会
会長  山本 伸一

※滝山病院 (東京都八王子市)、 ふれあい沼津ホスピタル (静岡県沼津市) などの精神科病院で、2022年、看護師らによる暴言・暴力・身体拘束等が明らかになった事件

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